見せ玉とは、自己の注文を有利に約定させるため、約定させる意思のない大量の発注を行い、他者に相場の状況を誤解させる行為を指します。
事例
ある上場会社の株式を保有しているAさんは、下の表で示すように95円から99円までの大量の買い注文を複数回に分けて発注しました。その後、株価が急騰し、Aさんは保有する株式を103円で売り抜けた後に、発注していた大量の買い注文をすべて取り消しました。
このような買い注文は、一般の投資家に「この会社の株式には多くの買い注文が入っているので、株価が下がりにくい状態だ」と誤解させて株価が下がるのを防ぎつつ、自分の保有する株式を高く売り抜けることを意図して行われた、いわゆる「見せ玉」と考えられます。
見せ玉のポイント
「見せ玉」は外形的な状況により判断されるため、自らの売り(買い)注文が約定した直後に、買い(売り)注文の全部(一部)を取消す、または劣後する値段に訂正する行為は、他の投資家の注文を誘引する目的を持った「見せ玉」と疑われる可能性があります。
また、寄付前に上値(下値)の株数を確認することを目的として、売買を成立させる意図がない注文を発注し、気配値を不当に動かす行為についても「見せ玉」と疑われる可能性があります。
注文の取消等が違法行為になるわけではありませんが、大量の注文発注や取消には注意が必要です。