資本剰余金を原資とする配当を受け取った場合、通常の配当(利益剰余金を原資とするもの)とは異なり、保有株式の一部を払い戻した(譲渡した)とみなされるため、税務上の取扱いが異なります。
主な違いは以下の通りです。
【比較表】通常の配当と資本剰余金を原資とする配当の違い
| 項目 | 通常の配当 | 資本剰余金を原資とする配当 |
| 配当原資 | 利益剰余金 | 資本剰余金 |
| 税務上の区分 | 配当所得 | 譲渡所得(みなし譲渡損益) ※一部「みなし配当」となる場合あり |
| 特定口座の対応 | 源泉徴収される(源泉徴収あり口座の場合) | 取得単価の調整が必要 ※証券会社側で自動計算されます |
資本剰余金を原資とする配当は、会社法上の「資本の払い戻し」に該当します。そのため、税務上は以下の2つの要素に分解して考えます。
「みなし譲渡損益」および「調整後の取得単価」は、発行会社から通知される「純資産減少割合」を用いて以下の手順で計算されます。
※通常、発行会社から株主宛ての「配当金に関するご案内」等の文書にて、資本剰余金を原資とする配当である旨、みなし配当の額、および純資産減少割合などが案内されます。
みなし譲渡損益額=収入とみなされる金額-取得価額
調整後の取得単価 = 調整前の取得単価 - (調整前の取得単価 × 純資産減少割合)
1,000円 - (1,000円 × 0.05) = 950円
今後は、この950円が新しい取得単価となります。